高い響きの解釈
響きを高い位置で保つことは、ベルカントにおける重要なポイントです。
ボイストレーナーと呼ばれる人たちは、その歌唱力の如何に関わらず、たいてい、上顎に響かせるとか、マスケラに響かせることを教えます。
しかし、99%の人は、間違ったところで歌ってしまいます。少なくとも私の周りで正しく響きを捉えられている人は。レッスン生を除いていません。
まず我々がすべきことは、”響かせる”ことをやめることです。
”響かせて”いる人は、実は息の流れが止まっています。
しかし、本人はそのことに気がつかないし、耳の無い先生だとそのことを指摘できません。
ある種の”響き”の感覚は、楽器の形を限定し、健全な声帯の運動を阻害します。
マスケラに響かせて歌っている人はこう反論するかもしれません。
「私は腹式呼吸ができているし、歌っているときにお腹の支えを感じている。息が止まっていることなどない」と。
これが恐ろしい勘違いで、このときの支えている感覚とは、ただの”力み”なのです。
生徒が、適切な支えを使えているのか、それとも無駄に力んでいるのか、その違いを聞き取って指摘できる教師はほとんどマレな気がします。
なぜなら、往々にして教師自身がそのような力みの状態を、支えとして理解していることがあるからです。
このような誤解をしている方達に共通するのは、頭のどこかで、「声楽とは良い声で歌うもの」という固定観念があることです。
そうではなく、「声楽とは良い息で歌うもの」です。
来週にY先生のレッスンがあるので、また音源を上げてみたいと思っています。