男性にとってのパッサージョ
男性にとってのパッサージョは、はっきり言って”超”難しい技術の筆頭だと思ってます。
これは女性にはおそらく理解できないほどの難しさです。
私がレッスンをしていても思いますが、女性の場合、中音域が理想的なポジションにはまれば、そこと同じところで歌うように意識するだけで、ほとんど全員の方が理想的なアクートに至ります。
男性の場合、話はそう単純じゃないのです。
そして、話がややこしくなるのが、男性のパッサージョの通過方法にはいくつものパターンが考えられることです。解剖学的なことはよくわかりませんが、私自身少なくとも2種類の方法でパッサーレすることができます。
1つ目の方法は、おそらく男性にとってポピュラーなパッサーレの方法だと思いますが、”喉頭を下げる”ことです。この歌い方の仲間として、”横隔膜の背面を広げる””背中(うなじ)で歌う””かぶせる”、、などがあります。
2つ目の方法は、私の現在採用している方法ですが、女性と同じ方法です。つまり、中音域から動かさずにアクートに転換するという方法。
簡単に言うと、何かを操作してアクートを導くのが前者で、何も変えないでアクートに移行するのが後者です。
難しいのは圧倒的に後者なので、男性は前者の歌い方をする人がとても多いのだと思います。
後者がなぜ男性にとって難しいかと言うと、この方法では全ての音を”ファルセットの感覚”で歌うことになるのですが、そのような発声を男性は普通していないからです。それでも楽器的に女性に近いテノールの人は、まだこの発声に親和性があります。しかし、バリトンやバスにとって、この感覚で歌うことはとっても難しいことです。
いずれまた音源を上げます^^