吸った息をそのまま使って歌う
自分自身ができるようになったからこそ、やっとその真の意味がわかったことがあります。
それは、ベルカントにおける呼吸の極意とも言えるのですが、
「吸った息をそのまま使って歌う」というY先生の教えです。
私は、これが長いこと正確に理解できずにいました。吸った息をそのまま使って歌うなんて当たり前じゃないの?と思っていたからです。
しかし、今だからこそ”断言”できることですが、9割9分の人は、吸った息をそのまま使って歌えていません。
ベルカントにおいては論外だけれども意外と多くの人がやっていることが、吐くときに息を喉やお腹で加工すること。
喉頭を下げるのも、軟口蓋を上げるのも、全部この加工になります。
思うに、真面目な人、発声研究家、発声とはこうあるべきという固定観念がある人・・・ほど陥りやすい罠です。
では、果たしてそのような”加工”無しに発声することが可能なのでしょうか・・・?
それを可能にするには、息を吸ったときに全てのフォームを整えるしかありません。
息を吸ったときに、喉を柔らかく開き、マスケラのポジションを確保する。
息を吐き始めたらあとは何もしない。ただ、響きの煌めきの線上に息を吐き続けるだけ。
理解するととてもシンプルで、そこ以外で歌うのが気持ち悪くなります。
が、私がそうであったように、理解できないうちは全く意味が分からないです。
わからないうちは、パッサージョやアクートで何か人為的な操作をしないと声が出ないと思います。