バスを教えられない悲しさ
私自身がバリトンなので本来はバスやバリトンの方を教えるのが相性が良いように思われるかもしれませんが、はっきり言って全く逆なのが実態です。
今までの経験では、最も教えやすいのがアルト。次にソプラノ。そして、テノール、です。
バリトン・バスの方は、1年くらい教えた方もいらっしゃいましたが、あまり成果が上がりませんでした。
教える上で一番厄介なのは、「○○はこうあるべき」という固定観念です。いや、それが正しければいいんですけど間違ってるから困るのです。
特にバスの方によく見られるのが、「バスとはこういう声」というイメージが先行し、そのイメージを追いかけて声を出すパターンです。
大抵、喉頭を一生懸命引き下げて、深く低い声を出そうとするのですが、これが全然ダメです。
それが違っているので、「そうじゃない、こうやって軽く出して」と見本を見せるのですが・・・
私が軽く歌ってもバリトンの深い声が生徒には聴こえてしまうので、その「出ている声」を真似しようとして上手くいかなくなってしまうのです。
声ではなくて息のルート、身体の使い方を真似して!と言うんですけど、なかなか理解してもらえませんでした。
その場では改善することもあるのですが、しばらく経つと「バスとはこうあるべき」に戻ってしまうのです。
そのこともあって、私はバリトンやバスを教えることが苦手です。レッスンプロならそんなことは言ってられませんが、あくまで自身の声楽活動の一環ですので、今はバリトンとバスについてはレッスンをお断りさせていただいています。
一方、アルトやソプラノは何故だかわからないのですが、順調に伸びます。男性のように妙な余計なことをする人が少ないです。何でなんでしょう?笑
テノールは、タイプにもよりますがレッスン可能です。「テノールはこうあるべき」という固定観念は、発声にプラスに働くことも多いからでしょう。