ファルセットの息②
男性の場合、まずはファルセットを自由にコントロールできるようになることを目指します。
使用する母音は「O」が良いでしょう。
ほとんどの男性は、ファルセットのコントロールが未熟です。最初のステップとしては、ファルセットで発声できる最高音を上に拡げていきます。
最低でもテノールのHiC、できればその上のHiF辺りまで力強いファルセットで発声できるように練習します。さらに上まで伸ばすこともできますが、私はHiFisあたりからホイッスルボイスと呼ばれる声に入ってしまうので、意味がありません。カラオケの一発ネタくらいには使えるかもしれませんが、、
この練習は、短期間で大きな効果を得られる練習です。男声には、声種を問わず練習していただきたいメニューの1つです。
ある程度ファルセットが開拓されてきたら、今度は実声とファルセットをオクターヴで往復する練習をします。実声→ファルセット→実声という風に歌い、このときファルセットへダイレクトかつ滑らかに切り替えられるように練習します。
この練習がスムーズにできるようになったら、実声で高音を歌う準備が整ったことになります。あとは、そのファルセットの息を支えと呼吸法を駆使して実声のアクートに転換する技術を学べばいいのです。
これが、男性が声楽を学ぶ上でまずやるべきことだと私は考えます。女性は何も考えなくても呼吸法から学び始めればいいのに対して、男性にはその準備期間が必要なのです。早い人で1年くらい、長いと3年くらいかかるかもしれません。。もしこのプロセスを省略するとしたら、少なくとも伝統的ベルカントで歌うことは不可能と思います。
私がバスやバリトンを教えない理由をなんとなく理解していただけたでしょうか・・・笑
ちなみに、ファルセットが強化されてくると、アクートを使わなくてもファルセットで十分に高音に対処できるのでは?と思う人が出てくると思いますが、残念ながらファルセットはいくら鍛えてもファルセットです。
アクートを歌っているときは、あくまで実声の感覚です。息はファルセットですが、声帯の状態は実声なのです。ここが非常に難しく、極めて高度な呼吸法の技術を要するところです。私もまだ完全とは言えませんが、自分なりに安定してアクートを歌える呼吸法は身につけていますので、そこから先はレッスンで、、ということになります。
明日はこのテーマのまとめとして、ファルセットの息をどうコントロールするかについて、ヒントになるような記事を書きたいと思います。