発声技術とレッスン
歌って、誰でも歌えるし、大衆文化と化したカラオケに連れ立って行けば、1人か2人はとっても上手に歌える人がいますよね。
だけれども、いや、だからこそなのか、歌うことをテクニックとして捉える概念って希薄になりがちなのかなーと思います。
発声技術とはどういうことか。一言で言えば、「いつ、どんなときでも、同じ声を同じように出せる技術」だと思います。もちろん、心身が健康な状態にあるという前提で。
声楽・合唱は、再現芸術ですね。
ですから、楽器として旋律を奏でる際に毎回違う声が出ては都合が悪いわけです。
ある日は高い声が出るけどある日は出ない、中音域が抜けたり詰まったりする、音程が低くなったり高くなったり。。。
これらは全て発声技術が無いか不完全であるが故に発生する問題です。
私がいつでも「自分の発声が正しいという確信がある」という状態で歌えるのは、自分の中に確固たる発声技術があるからです。もちろんまだまだ未熟者ですから完璧にとはいきませんが、上手くいかないことがあったとしてもその対処法と解決法は自分の中にあります。
私はレッスン活動を行っていますが、レッスンは、①自分の中に明確な発声技術があること、②技術を言葉に変換して伝えられること、③生徒の発した声を聴いて、即座にバランスを修正するための方法論を提案できること、の3つの条件が揃わないと成り立ちません。
例えば、支えはこうで・・・キアーロ・スクーロのバランスを意識して・・・貴方のパッサージョ域はここだからここからアクートして・・・などなど、声楽を少しかじればもっともらしく説明した気になることはできます。
ですが、それがどう発声と結びつくのか。息と響きにどう関与するのか。
私が提供するレッスンでは、知識的なことを実践的な発声となるべく具体的に結び付けて、わかりやすい指導を心がけています。
理論だけの一方通行では発声で悩む時間を増やすだけだし、理論が無い状態ではいつまで経っても一人立ちして歌うことはできませんからね。
これも私自身が発声で死ぬほど苦労したからこそ、できることだと思っております。