口をどう開けるかという議論
喉をどう開けるかということは、既に書きました。
では、口はどう開ければいいのでしょうか。
私がこれまで聞いたことがあるのは、「口は縦に開けなさい」というやつ。指が縦に三本入るくらい開けるそうです。
私(=Y先生)の見解としては、”口は開けません”。
口の開け方について指導する先生は結構多いと思いますが、それは多かれ少なかれ、生徒に「口はしっかり開けるもの」という認識を植え付けるでしょう。それが良くない。
私は口はほとんど開けてません。むしろなるべく閉じるように歌っています。なぜならば、人間の口腔は蝶番のようになっているので、口を大きく開ければ開けるほど喉が狭くなるからです。逆に、口を閉じようとすると喉の奥が開きます。
ある指揮者は、「そんな腹話術みたいに歌ってどうする、ちゃんと口を開けろ」なんて指導してましたが、私に言わせればむしろ腹話術に近いんじゃない?と思います笑
・・・と書きました。以上は歌い手の感覚です。すなわち、歌い手としては口が開かないように、閉じる方向の力を使っている。結果、外から見ると口が縦によく開いているかもしれません。
あまり文章で説明しても伝わらないかもしれません。
私が自分の口の開き加減を調整するのに使う母音が、ドイツ語の「U」です。
ドイツ語の「U」は非常に深い母音なのですが、この母音であっても「A」と同様の明るい位置で歌えないといけません。私の場合、口を開けすぎていると、「U」母音を浅めに調整しないと「A」と同じ位置で歌えません。イタリア語の「U」ならそれでも歌えるのですが。
参考までに。