テノール・ソプラノに見られる現象
テノール・ソプラノに見られる現象、これは特に合唱団員に多く見られる傾向なのですが、ちょっと気になったので記事にしてみます。
それは、”パッサージョが無くて突然ソプラクートする”という現象です。実際に彼らの中で何が起きているのかバリトンの私には理解が難しい部分もあるのですが、推測も交えて書いてみましょう。
正統なベルカントで歌う場合、低声区からパッサージョ域を経てアクートに入ります。そして、テノール・ソプラノでは3点Cくらいからソプラクートに入ります。
■テノールの場合
テノールにとってのソプラクートは”≒ファルセット”です。ファルセットーネとも言いますが、要はミックスボイスとかって言われる類の発声ですね。実声の感覚で裏声出してるって感じ。
これ、アクートからソプラクートに切り替えるのはかなり技術がいるのですが、単発でソプラクートするだけならそんなに難しくありません。ピャーッて出すだけです笑 結構いると思いますよ、低中音スカスカなのに超高音だけやたら出るテノールの人。
このタイプ、パッサージョ&アクートが無いので、テノールの平均的な第2パッサージョであるGから下はどんどん声量が無くなり細い声になっていきます。
このタイプのテノールは限りなく女声に近い声帯の使い方をしていると思います。だからかな?少年・少女合唱団上がりのテノールでこのタイプをよく見かけます。
■ソプラノの場合
ソプラノの場合は、声帯の振動部分を削減するフラジョレットという発声に入ることでソプラクートするのですが、これをFとかGくらいから使う人が非常に多いです。
高音は出るけど、全然響かなくて細い人。大体これです。
単純に喉が閉まってるだけとも言えますが、支えが無くても高音が出るという女声特有の裏ワザなので、これを覚えると合唱でこの発声ばかりしちゃうんだと思います。
ちなみにそれすらできない人がアルトに流れ込んでいるのが日本の合唱団に見られる傾向・・・と言ったら言い過ぎでしょうか?
さて、厳密にはメカニズムの違う両者ですが、”超高音で使うべき喉を、ほとんど全ての音域で使ってしまっている”という点で共通しています。
このタイプの方はレッスン困難かなぁ、と思いますね。なぜなら、喉で音程を作りにいっているので、呼吸法とか支えとか言っても完全に「????」だと思うんですよ。そういう概念が無いから。
もしこのタイプに該当して、かつ、発声を直したいと考えるなら、今やってることを全て忘れて1から組み立てないといけないと思います。
1年や2年で改善するようなことはないと思うので根気が要りますが。。。