譜読みについて(長文注意)
合唱にしてもソロにしても、その曲を自分のものにできるかどうかを分けるのは、譜読み作業だと思っています。わかってはいても、なかなか理想的な状態で譜読みを終えられるとは限らないのですが、それはとりあえず置いておきましょう。
私にとって、譜読みとは、先生の前で演奏する、あるいは全体で合わせる直前までに行う準備作業のことです。その工程は次のように分けられます。
①楽譜を見ながら参考音源を聴く。
②鍵盤で音程とリズムを確認する。
③ブレスの位置を仮決めする。
④A母音で歌い、息のルートを確定する。
⑤母音のみで歌い、発声上不具合が生じないか確認する。
⑥子音をつけて、総合的なチェックを行う。
ここまでです。
え、それだけやれるならレッスンなんて要らないんじゃないかって?
むしろ、ここまでやっていかないとレッスンを受ける意味って無いです。自分でできることは全部潰した上で、自分の気が付かないところをご指導いただくのがレッスンだと思っていますから。
しかし、合唱団員でこういった努力をされている方を私は見たことがありません。何度か音源を聴いて楽譜をパラパラめくった程度で、満足に合わせて歌えるわけがないんですよ。・・・という話をしたところ、「私たちだって努力はしているけど、色々忙しいから難しいのよ」なんて言われたことがありますが、それを努力をしているとは言わないんだよねぇ^^;まぁ意識が違いすぎるんですよね。。
さて、順番に見ていきましょう。
①楽譜を見ながら参考音源を聴く。
人によるでしょうが、私はまずここから入るかな。ただし、あくまで参考として聴くに止めます。参考音源を聴きすぎると、私とは違う声種の響きが無意識に身体に入りすぎてしまい、自分の楽器として演奏する際の弊害となることが多いからです。なので、譜読みとして聴く際には、曲想がある程度掴めればOKです。
②鍵盤で音程とリズムを確認する。
ここが結構時間かかるとこです。まず、鍵盤で音を弾く練習が必要になるので^^;初めはかなりゆっくりしたテンポで、しかし、正確に音程とリズムを頭に入れていきます。この段階では歌詞は考えません。頭の中では、固定ドで読んでます。
③ブレスの位置を仮決めする。
フレーズが頭に入ってきたら、歌詞を見ながらブレスを取るところを考えます。ブレスの位置を決めることはとても重要なので、必ず歌い始める前にやっておきます。
④A母音で歌い、息のルートを確定する。
ここまでできたら、初めて声にします。このやり方は人それぞれですが、私はY先生方式を採用して、まずは全部A母音で歌ってみます。この時点で音程・リズムが怪しい場合には、あまり歌いすぎず、もう1度③に戻ります。
音程・リズムがわかっていても歌いにくい場合は、テクニック的に問題があります。その場合、まだその曲を歌う準備ができていないということではありますが、それでも歌わなければいけない場面は多いでしょうから、可能な限り理想的な発声で歌えるようにしたいところです。このことは、譜読みというよりもレッスンで解決していきます。
⑤母音のみで歌い、発声上不具合が生じないか確認する。
A母音で見つけた息のルートが乱れないか確認します。乱れる場合は、原因を分析し、改善できないか検討してみます。自分では難しいと感じたら、やりすぎずにレッスンに持っていきます。また、A母音の時点で歌いにくい部分についてはあまりやっても意味がないので、譜読み段階では放置しておきます。
⑥子音をつけて、総合的なチェックを行う。
ここまで準備できることはあまり多くないかもしれませんが、子音をつけて息のルートが乱れないか確認します。母音である程度スムーズに歌えるようになっている場合は、二重子音をきちんと認識できているか、子音を発音したときに余計な母音が混ざらないか、などを確認します。
という感じです。
急いでやっても、私は1週間かかります。(だから、合唱団Sはきつい!)できれば、2週間は欲しいですね。
しかも、ここまでやったとしても、実際他パートと合わせたり、ピアノが入ったりすると混乱したりするわけですよ。
でも、混乱したとしても、譜読みをきっちりやっていさえすれば、そこに戻って立て直せるから強いのです。まず、自分の中に曲が入っていなければ何もできなくなりますからね。
と、私のスタンスはそうですが、生徒には決してそうしろとは言いません。
なぜなら、④以降で声を出して練習したときに、教えていない妙なやり方で練習してしまうことがあるからです。そうすると、それによってついた発声の癖を直す方が時間かかってしまうので、それだったら何もしないで来てくれた方が長期的に見て上達が早かったりするんですよね。
だから、正しいやり方で練習できるくらいに上達するまでは、自分でやるのは声を出さないところまでにしておいた方が、本当はいいと思います。
あとは、ご自身の置かれている状況・環境に応じて、どこまでやるかを決められるといいと思います。